コレクション: 株式会社 鈴木酒造店
鈴木酒造店さんの酒蔵は、堤防を挟んだ向こう側は海という全国的にも珍しい立地で、以来、浪江町請戸(うけど)地区にて営業を続け、海の暮らしに寄り添ってこられました。
代表銘柄である「磐城壽」の由来は「板子一枚下は地獄」というように、海の男たちは命の危険と隣り合わせの仕事の中で何事にも縁起を重んじるため、めでたい名前が重宝されたことだそうです。
国内でも珍しい場所にあった鈴木酒造店さんの酒造りは、現代では当たり前のようになっている『洗米』(米を洗う作業)から『放冷』(蒸した米をほぐして冷やす)まで手作業で行う徹底ぶり、やけど寸前の作業を毎朝行っております。
2011年3月11日に震災で福島県浪江町の蔵を失いました。
資料やデータも失い、研究用に分けて保管していた僅かな蔵付酵母と蔵人たちの力を頼りに、山形県にあった東洋酒造を引き継ぐ形で、伝統の味を繋ぎ続けてきました。
震災から1年も経たず「磐城寿」の再興を決意され、そして2021年、念願叶い、浪江町の道の駅「道の駅なみえ」に隣接する形で「なみえの技・なりわい館」が完成し、故郷での酒造りが再開となりました。
浪江産の米や米麹を使って、とことん品質にこだわられています。
移転先となった長井蔵、新たなスタートを切った浪江蔵。2つの故郷から躍進は続きます。